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三軒茶屋心中

三軒茶屋は雨模様
鼻腔を刺す焼けた鉄とオイル
唐紅の血飛沫は
二束三文にもなりゃしない

一寸先は闇模様
ならばせめて麗しいままでと
死装束を染めたのは
水杯、弔った華

もうすぐ迎えが来ると
最後に笑えると
力なく横たわる
傍ら、無風に揺れる彼岸花

咲かせやしょうか三途の向こうで

心中相手は旅鴉
唄え鳴らせど心地の良いもんで
胸中共鳴夏の音の
響くうだる暑さの葉月

半透明のグルーヴは
哀しく脆く刹那に切なくて
経帷子に縫い付けた
怪しく光る六鉄刃

揺蕩う水面、心は今でも一辺倒で
揺れる、波紋がぼかした失意の生命線

もうすぐ夜が明けると
滲む色は曙
震えながら奮い立つ
傍ら、香るは芽吹く雪中花

咲かせやしょうか碧に変わるまで

夢見心地を脳内麻薬で洗い流して
走馬灯の如し、ブレーキランプの流星群

もうすぐ迎えが来ると
最後に笑えると
力なく横たわる
傍ら、無風に揺れる白彼岸花
もうすぐ夜が明けると
滲む色は曙
震えながら奮い立つ
傍ら、香るは芽吹く雪中花

咲かせやしょうか、三途の向こうで

三軒茶屋は霧模様
視界隠すよれた服とオイル
急転直下の旅模様
欠けた月が上手に笑う


 

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